今回の記事は、ドラマ・ハゲタカに関する記事です。
前回、ハゲタカ第1話放送後に、ドラマ内で登場した金融用語の解説をしました。
前回記事はこちらから↓
ハゲタカの内容が専門的でとっつきにくいからか、上記記事は大変多くの方に読んでいただきました。
今回はハゲタカ解説記事、第2弾です。
第4話で登場した企業買収の防衛策「ホワイトナイト」について事例を交えながら掘り下げていきたいと思います。
1.「ホワイトナイト」とは
敵対的買収の防衛策の一つで、敵対的買収を仕掛けられた会社の経営者が自らにとって友好的な第三者に会社を買収してもらうことで自分の会社を守ろうとすること。
ホワイトナイトの具体的な施策としては、敵対的買収者が現れた後に
- 「カウンターTOB」を仕掛ける。(買収者よりも高い価格でTOBをすること)
- 友好的買収者に対して第三者割当増資あるいは新株予約権の付与を行う。
- 「クラウンジュエル」を行う。(買収者にとって魅力となっている資産・事業をホワイトナイトに譲渡して買収意欲を下げること)
といった策を講じます。
2.ハゲタカ作中では・・・
PCメーカー「ファインTD」の滝本社長は、国内有数の大手電機メーカー「あけぼの」に対して好条件の株買収提案を持ちかけてきました。
↓
しかし、あけぼのに籍を置く芝野は、その好条件は見せかけに過ぎず、直前になって都合のいい条件に変えられてしまうと見抜き、交渉打ち切りとしました。
↓
これに対して、ファインTD・滝本社長は、「あけぼのに敵対的買収をしかけます」と宣言しました。
↓
その後、芝野はファインTDによるあけぼの買収計画のバックには米国の軍事産業ファンドがいて、その狙いはあけぼのレーダー開発である、ということを鷲津から知らされました。
↓
鷲津はホライズンジャパン・パートナーズがあけぼののホワイトナイトになる、すなわち友好的な株の買収を実施すると告げました。
これによって、ファインTD&米国軍事ファンド vs あけぼの&ホライズンジャパン・パートナーズの構図に!
3.ホワイトナイトの事例
事例1 フリージア・マクロスvsソレキア(ホワイトナイトに富士通参戦)
2017年2月、フリージア・マクロスの佐々木ベジ会長がシステム開発会社ソレキアに敵対的TOBを仕掛けました。
そこにホワイトナイトとして手を差し延べたのが、かねてから取引のあった富士通でした。
フリージアとのTOB合戦を繰り広げましたが、富士通はフリージアとのTOB合戦に負けて撤退、ホワイトナイト失敗となりました。
⇒結果:フリージア・マクロスはソレキア買収に成功
ソレキアの株価はこのように推移しました。TOB合戦により、株価は大きく吊り上がりました。
出典:スマホアプリ Monex Trader
column 買収の経緯
2016年11月 フリージア・マクロスがソレキア株を5%超保有し大株主に浮上。
↓
2017年2月上旬 フリージア・マクロスの佐々木ベジ会長がソレキアに対する買付価格2800円でのTOB実施を届出。これを受けて、 ソレキアが富士通に対して公開買付けへの対応を依頼。
↓
2月中旬 富士通、ソレキアを完全子会社化とすると宣言。
↓
3月10日 ソレキア、取締役会で佐々木会長に対しTOBへの反対意見の表明。
↓
3月16日 富士通、ソレキアに対するTOBを発表し、ソレキアも賛同。
TOB合戦で株価4倍以上になるって驚きですよね。
続いて、敵対的買収を試みたものの失敗に終わった例です。
事例2 ドン・キホーテvsオリジン東秀(ホワイトナイトにイオン参戦)
次世代型のコンビニエンスストアを作るため、ドン・キホーテはあのオリジン弁当でお馴染みオリジン東秀を敵対的TOBで買収しようとしていました。
しかし、そこにイオンがホワイトナイトとして登場し、最終的にはイオンが勝ち、ドン・キホーテは持っていたオリジン株をイオンに売却しました。
⇒結果:ドン・キホーテは買収に失敗
4.まとめ
今回の記事では、ホワイトナイトについて、事例を交えながら解説しました。
今年には、日本アジアグループとサンヨーホームズによる敵対的買収のニュースがありました。
この場合も仮に、大株主のLIXILに対策を講じてもらえないかと依頼すれば、LIXILがサンヨーホームズのホワイトナイトになる、といった可能性もあります。
M&A業界は仕組みが分かると大変興味深い世界です。
そして、仕組みがわかればハゲタカもさらに面白くなること間違いナシです。
見逃した方は、ビデオパスで30日間無料お試し登録をすると、全話視聴可能です。
ドラマ・ハゲタカ、投資や金融業界に少しでも興味がある方は要チェックです!
~合わせて読みたい~