あなたは「テクニカル上場」という言葉をご存知でしょうか。
上場会社が非上場会社と合併することによって解散する場合や、株式交換、株式移転により非上場会社の完全子会社となる場合に、その非上場会社が発行する株券について、上場廃止基準に定める流動性基準への適合状況を中心に確認し、速やかな上場を認める制度のこと。
直近では、迅速かつ柔軟な経営判断ができる体制を構築することを目指すとして、2018年に[9278]ブックオフグループHDがテクニカル上場を果たしています。
通常の新規上場審査よりも簡略化された手続きにより非上場会社の株式を速やかに上場させることで、以前の上場会社の株主に継続的な株式流通の場を提供することが可能になります。
株式の流動性の状況確認など簡略な手続きを経て、通常、上場廃止から3営業日後に上場します。
テクニカル上場を果たしたアクサスHDの例
2016年にテクニカル上場を果たしたアクサスHDのスケジュールです。
2016年2月25日(木) 雑貨屋ブルドッグの上場廃止日
2016年3月1日(火) アクサスHDの設立・株式上場日
⇒雑貨屋ブルドッグの上場廃止から3営業日でアクサスHDがテクニカル上場しています。
1.テクニカル上場を実施する目的とは
各社目的は様々ですが、次の3つが主な目的です。
- 迅速かつ柔軟な経営判断ができる体制を構築する
- グループ各社の採算性と事業責任の明確化を図る
- 事業再編の機動性及び柔軟性を確保する
ア○サスHDのテクニカル上場の目的は上記とはまた別のような気がするけど、具体的に話すのは控えておこう…
2.テクニカル上場 事例をご紹介!
①アクサスHD
アクサスと雑貨屋ブルドッグは、共同株式移転により、2016年3月1日付で両社の完全親会社となるアクサスHDを設立し、その完全子会社となりました。
アクサスHD設立に伴い、完全子会社となる雑貨屋ブルドッグは2016年2月25日付で上場廃止となりました。
②紀陽銀行
紀陽銀行は、和歌山銀行との経営統合・紀陽HD設立に伴い、東証1部の上場廃止を廃止しました。
2006年10月10日、紀陽銀行が和歌山銀行を吸収合併しました。
2013年10月1日付で、紀陽HDを吸収合併し、存続会社を紀陽銀行として再上場しました。
③JFE商事
JFE商事は、2012年4月1日に、JFE商事HDを合併し、テクニカル上場しました。
※2012年10月1日にJFEHDとの株式交換により完全子会社化され、わずか半年で上場廃止となりました。
ところで、テクニカル上場で日経225構成銘柄が上場廃止になった場合はどうなるの!?
column テクニカル上場で日経225構成銘柄が上場廃止になった場合はどうなる!?
日経平均株価の臨時入れ替えルールには、企業再編によるテクニカル上場で構成銘柄が上場廃止となった場合、テクニカル上場した会社を採用する特例があります。
日経225への採用の可否は、「上場廃止会社の事業が承継会社の主たる事業であるか」などにより判断されます。
同じ時期に他の銘柄入れ替えがなければ、数日の間(通常は3営業日)は日経225に満たない銘柄数で日経平均が算出されることがあります。
最近の事例では、横浜銀行が東日本銀行との共同持ち株会社を設立したことで、上場廃止日2016年3月29日に日経平均の構成銘柄から除外された際、新設の共同持ち株会社として上場したコンコルディアFGが4月4日に銘柄に加わりました。
その他にも、2014年4月上場したマルハニチロ、2013年10月に上場した東急不動産HDもテクニカル上場を経て日経225銘柄に採用されたケースです。
3.まとめ
テクニカル上場は、上場会社が非上場会社と合併することによって解散する場合や、株式交換、株式移転により非上場会社の完全子会社となる場合に実施されています。
株価については、テクニカル上場に伴って目立った影響はありません。
テクニカル上場について、仕組みを詳しく理解しておく必要はありませんが、この記事を通して事例を知り、少しでもテクニカル上場について理解が深まれば幸いです。
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