会社の「資本金」とは何か知っていますか?
株式でも銀行借入でも資金調達はしているけど、、ん??
意外と具体的には説明できないかも…
とりあえず、会社を設立するにあたって、「資本金」は欠かせません。
今回の記事では、資本金とは何か、解説していきます。
1.資本金とは
資本金とは、開業時点において会社が所有している運転資金、事業を行うための元手を指します。
貸借対照表上で見ると、資本金は「資産の部」から「負債の部」を控除することによって算出される「資本の部」の総額で、いわゆる純資産となります。
これは返済不要の資金のため、資本金の金額が大きければ、それだけ会社に財務上の余力があると判断することができます。
会社を設立するにあたっての運転資金だけでなく、新規事業を立ち上げる際などに資金が必要になったとき、株主や投資家から調達した資金も資本金に分類されます。
株式会社という設立形態をとる会社の場合、創業時の資本金はその会社の株主から払い込みがなされた出資金とするのが原則です。(会社法の第445条第1項)
例えば、ある株式会社を設立する際に1株あたり300円で1万株発行し、全て払い込みがなされた場合、資本金は300万円(=300円×1万株)となります。
会社の資本金っていくらから設定できて、いくらが妥当なの??
2.資本金はいくらに設定できる? 妥当な金額とは
以前は「株式会社なら資本金1,000万円以上、有限会社なら資本金300万円以上」という決まりがありました。
しかし、平成18年に施行された新会社法によって、1円以上の資本金があれば、株式会社が設立できるようになりました。
したがって、制度上、会社を設立する人が自由に資本金の金額を設定することができます。
1円でもいいんだ!割と敷居が低いのね。
そういうことです。ただ、資本金を1円と設定することはオススメできません。
あ、そうなんだ!
資本金の金額は、企業の規模や体力の目安でもあるのです。
取引先や金融機関によっては、1円の資本金を持つ株式会社に対して、その支払い能力に疑問を感じ、取引自体を断るケースがあるからです。
実際には、会社設立費用に加え開業後に予想される収益や費用をベースに算定した運転資金を基礎として、必要な資本金の金額を決めるのが一般的です。
ビジネスを開始してすぐに収益が得られるとは限らないため、万が一の場合に備えて数ヵ月程度は売上ゼロでも会社を維持できる予算を確保しておく必要があります。
資本金の理想的な金額は、ビジネスモデルや設備投資の有無によっても大きく左右されます。
例えば、在庫を持つ必要がなく、大掛かりな機械設備を持たずに起業できる業種であれば、比較的少ない資本金で株式会社の運営を継続することが可能です。
一方、ものづくりを中心とした業種であれば、業務用器材や設備、倉庫・工場などの確保も必要となり、初期投資だけでも数百万円単位で資本金が必要なケースもあります。
3.資本金が多く設定するメリット・デメリット
★メリット
先程の説明にもありましたが、資本金が多いほど、事業の規模が大きく、安定した経営をしている会社であり安心して取引できるという印象を与えることができるため、金融機関からの融資を受けやすくなります。
☆デメリット
資本金は少なすぎては良くないという説明をしましたが、逆に資本金が多すぎることによるデメリットも存在します。
そのデメリットとは、会社設立時に資本金を一定額以上にすると、税金面で不利になってしまうことです。
具体的には、会社設立時の資本金が1,000万円を超えると、小規模な新設法人なら、設立1期目、もしくは2期目まで消費税が免除となる「消費税免税措置」が受けられなくなります。
さらに、資本金1億円以下であれば「中小企業」とみなされ、法人税率の一部軽減も認められるため、有利にビジネスを継続することが可能です。具体的には、年間所得のうち800万円までは、通常の法人税率30%ではなく、軽減税率19%が適用されます。
また、都道府県および市町村へ支払う地方税に関して、資本金等が少ない会社は軽減措置の適用を受けることが可能です。
一般的に会社設立から数年間は、資金にあまり余裕がない時期です。
税金を極力抑えてじっくり事業を育てたいなら、1,000万円をひとつのラインとして資本金を決定するといいでしょう。
この他にも、会社設立時の資本金を決める際に、以下の2ケースには注意が必要です。
●許認可を受けるために一定額以上の資本金が必要なケース
許認可が必要な事業では、財産的基礎の下限が設定されているケースがあります。
登記上の資本金が目安になるケースだけではないのですが、資本金で条件を満たすことがスムーズでしょう。
例えば、建設業では資本金2,000万円以上かつ自己資本の額が4,000万円以上といった条件があります。
また、一般労働者派遣事業では、資産の総額から負債の総額を控除した基準資産額1,000万円以上が許認可を受けるための条件となります。
●融資を受けるために一定額以上の資本金が必要なケース
融資を受けるために、一定額以上の資本金が必要な場合があります。
例えば、日本政策金融公庫の「新創業融資」を利用する場合、「全体として必要な資金の10分の1程度は自己資金から資本金を出資できること」という要件が定められています。
4.増資で資本金を増やす方法と注意点
資本金を増やす方法として、創業者を含む株主および第三者に新株を発行して資金調達する「増資」という手段があります。
資本金を増やすときってどんなときなの??
主に、新たに事業をスタートさせるために増資を受けたときや、会社の規模が大きくなって設備投資が必要になり、金融機関の融資を受けたときには、資本金の見直しを行う必要があるでしょう。
増資によって資本金を増やす注意点
注意点① 1株あたりの利益の低下
増資をしすぎると、発行済株式数が増加し、一株あたりの利益が下がって、既存の株主に不利益が生じることにもなりかねません。
利益が希薄化する可能性があるというわけです。
注意点② 持株比率の低下
増資を受けることで、株式の出資割合を示す「持株比率」にも影響があります。
第三者に対して増資を行うと、経営者の持ち株比率が下がってしまいますので、経営者ではない第三者の意思で代表取締役を解任できる可能性が出てきます。
5.まとめ
今回の記事では、資本金とは何かだけでなく、資本金の額面に応じた税制面、財務面でのメリット・デメリットについて解説しました。
資本金からは、会社の体力や規模を推し測ることができます。
しかし、資本金は事業を行う上での出資の合計額であり、会社の業績とは無関係の数値のため、会社の価値までは測ることはできないことはしっかり理解しておきましょう。
新規事業で大きな利益を上げても、逆に損を出しても、資本金の額は変わりません。
直近では、PKSHA Technologyは資本金を減額するといったニュースが直近で発表され、それに伴い株価が変動しています。
経営者を目指す人はもちろん、投資家の方も最低限知っておくべき知識ですので、しっかり頭に入れておきましょう。
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