円高メリット銘柄とは、対ドルや対ユーロなどで円相場が上昇することでメリットが発生する銘柄を指します。
しかし、一般的には「円高=株安、円安=株高」と判断されます。
具体的にはどういうこと!?
column どうして円安になると株高になる傾向にあるの?
なぜ円安になると株高になる傾向にあるのでしょうか。
それは、株価の目安である日経225銘柄、いわゆる大企業に限ると円安でメリットを受ける企業、すなわち輸出企業の割合が非常に多いからです。(実際に、225銘柄のうち、円安メリット型が5割を超えています)
また、日本の輸出額の9割以上が、東証1部の大企業に集中していると言われていることも要因の一つと言えるでしょう。
今回の記事では、円高になることで業績にプラス効果があるとされている銘柄をご紹介します。
為替に関して、中国の人民元安についてはこちらで解説しています↓
![人民元 中国](https://zaitech-life.com/wp-content/uploads/2018/04/money-938269_960_720.jpg)
1.円高の恩恵を受ける業種とは
![株](https://zaitech-life.com/wp-content/uploads/2018/11/man-791049_960_720-300x200.jpg)
円高が進み一般的にメリットを得るとされるのは、輸入業種で、具体的には次のような業種です。
円高の恩恵を受ける主な輸入業種
- 原油
- 大豆
- トウモロコシ
- 輸入食品
- 輸入家具
- 輸入木材
- アパレル
- 紙・パルプ
- 電力・ガス
エネルギー、紙・パルプ産業、外食産業等については原材料を輸入に頼るという観点から、また、アパレルメーカーなどに関しては生産拠点を海外に置くという観点から、円高が追い風となります。
輸入業種以外にも、円高により海外旅行の費用が割安となるため、旅行会社や航空会社のビジネスチャンスも広がるとされています。
実際に、2019年始の急激な円高によって、ネット専業の旅行会社[6548]旅工房の株価は急騰しました。
![旅工房](https://zaitech-life.com/wp-content/uploads/2019/01/2019-01-05-12.38.02-300x169.png)
2.円高メリット銘柄のご紹介
東証一部上場の円高メリット銘柄について、解説を添えてご紹介します。
ニトリHD、ABCマート、ファーストリテイリング
この3社は日用品、雑貨、服飾関連の企業で、製品のほぼ全量を海外で生産、輸入している会社です。
いずれの会社も競争上、円高メリットは円高還元値下げや実質値下げした新商品の開発などで消費者に還元していますが、それが各社の業容拡大に大きく寄与しています。
特にニトリについては、円高差益を値下げ原資として売り上げを増やし、2007年2月期から2010年2月期までの3年間に経常利益が倍増しました。
今や、家具、インテリアの分野で日本を代表する会社になったニトリですが、円高差益をうまく企業成長に結び付けたまさに代表例と言えます。
紙・パルプ、食品・飲料、外食関連
紙・パルプ関連
⇒北越コーポ、王子HD、大王製紙、日本製紙など
食品・飲料関連
⇒森永乳業、江崎グリコ、山崎製パン、アサヒグループなど
外食関連
⇒サイゼリア、くらコーポなど
などが挙げられ、これらの業界は、食材や原料、原燃料の輸入価格が下がるので円高メリットは大きくなります。
銘柄たくさん挙げ過ぎ~
結局どこが狙い目なの??
個人的に特に注目しているのは、パン最大手の山崎製パンです。
原料の小麦のほとんどを輸入に頼っており、円高による原価低減メリットが非常に大きいと言えます。
円高で輸入価格が下がるだけでなく、米国と中国の貿易戦争も小麦価格低下に拍車をかけると見られます。
中国は、米国産小麦に輸入関税をかける報復措置案を公表しました。
実際に中国が米国から小麦を買わなくなると、小麦の在庫が増え、世界の穀物市場が値下がりする可能性が出てきます。
円高×国際価格低下で小麦価格が下がれば、山崎製パンには絶大なプラス影響があると考えられます。
エンビプロ、黒谷
銅スクラップを扱う黒谷や、建築廃材や廃車を収集するエンビプロなどの資源販売関連の企業は、ドル安(円高)になると株価が上昇するケースが多いです。
このセクターでは金属加工に強い[7826]フルヤ金属が個人的に気になります。
WOWOW、スカパーJSAT
海外から映画やテレビ番組などのコンテンツを輸入しています。
したがって、円高が進むと、海外の映画やスポーツ中継の放映権料の仕入れ価格が下がり、原価が下がった分はそのまま利益になります。
一見、内需企業だけど、円高メリットがあるのね!
日本電気硝子
同社は、液晶パネルに使うガラス基板大手です。
主に韓国、台湾の液晶パネルメーカーが顧客ですが、液晶パネル用ガラス基板の国際取引が円建てなので、円高に伴うデメリットはありません。
むしろ、ガラス原料になる特殊な砂をドル建てで輸入しているため、円高メリットが発生しています。
推定で1円の円高で年間約2億円の円高メリットが発生しているそうです。
住石HD
同社は、住友系の石炭商社です。
原料炭は全て輸入に頼っており、円高メリット銘柄と言えます。
往年の仕手株としても知られていますので、突然急騰を見せることがあるかも…!
column 円高進行で国内の全自動車メーカーが打撃を受けるとは限らない!?
自動車産業は輸出産業のため、円安環境で業績を伸ばすと言われています。
実際に、トヨタやホンダ、SUBARUは北米が最大の収益源のため、円高は日本からの輸出にブレーキをかけ、現地生産で得たドル建て利益も円換算すると目減りしてしまいます。
しかし、小型車を得意とする自動車メーカーのスズキは、インドや東南アジア向けが主力のため、対ドルで10円の円高でも減益率は推定1%にとどまります。
ですので、円高が進みトヨタなど大手自動車株が下落すれば、自動車などの大手製造業株の保有比率を落としたくない機関投資家が、スズキに資金をシフトする展開もあり得ます。
同様の考え方で、1ドル80円台の円高時代でも黒字を確保してきた自動車ランプ大手の[6923]スタンレー電気のような銘柄にも機関投資家の資金が集まってくるかもしれません。
3.まとめ
![外貨預金](https://zaitech-life.com/wp-content/uploads/2018/05/arrow-3078561_960_720-300x214.jpg)
円高メリットセクター
- 原油
- 大豆
- トウモロコシ
- 輸入食品
- 輸入家具
- 輸入木材
- アパレル
- 紙・パルプ
- 電力・ガス
- 旅行
- 航空
「円高=株安」と言う考えから円高が進むと株を買いづらいと考える人もいるかもしれませんが、円高で恩恵を受ける銘柄のその理由について深掘りして調べるとニトリのような大化け銘柄が見つかるかもしれません。
以前雑誌かニュースの会社インタビューで見たのですが、一見円安メリットに思われるソニーは円高メリット株だそうです。
日本の大手製造業はそこも円安メリットと思ってたわ。
意外ね~
一見円安メリットに見える会社も、実は円高の方が恩恵を受ける場合があります。
決算資料や事業内容を詳しく確認してみると新たな発見があると思います♪
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