近年投資が盛んに行われている植物工場の強みについてこちらの記事でご紹介しました。
植物工場は様々な業界が参入しており、近年特に動きが目立つのが化学業界です。
その理由は、植物工場で使われるLEDやフィルムを製造しており、それらを生産する際の環境制御の技術が植物栽培に活かされているためです。
今回は、植物工場の分野に参入している企業を5社ご紹介します。
植物工場 参入銘柄5社
[4182]三菱ガス化学
三菱ガス化学は、20億円以上を投資し2019年春に国内最大規模の植物工場を建設予定です。
レタスなど葉菜類の生産能力は日産2.6トンで、日本最大級となる見込みです。
三菱ガス化学の主目的は野菜の生産・販売ですが、同社は食品の洗浄に使用される過酸化水素や過酢酸製剤、食品を酸素劣化から守る脱酸素剤や各種機能性樹脂フィルムなど食品に関わる様々な製品を扱っており、植物工場により、これらの製品の販売拡大にもつなげることを狙いとしています。
[4188]三菱ケミカル
三菱ケミカルは、農業ビジネスの将来性とグループ内で製造するLEDの販促に期待し、2010年から植物工場事業に取り組んでいます。
一時期はベビーリーフそのものの生産・販売を手掛けていましたが、現在では工場システムのみの販売を行っています。
三菱ケミカルの子会社、三菱ケミカルアグリドリームは工場内で作物の種から苗を育てるシステムを販売しています。
この育苗システムは千葉大学園芸学部の技術を応用して開発されたもので、トマト、キュウリなどの生産ができ、全国の農業法人やJAグループへの販売実績があります。
[4004]昭和電工
昭和電工は、2011年に植物工場事業に参入し、栽培システム・機器の販売を手掛けています。
現在は、レタス類を1平方メートルの栽培面積で1日当たり350グラムの生産が可能です。
350グラムというのは業界最高水準で、一般的な植物工場の約2倍と非常に高い生産性を誇っています。
特筆すべきは、同社が開発した世界最高の発光効率を持つ波長660ナノメートルの赤色LEDと、波長450ナノメートルの青色LEDを作物に交互に照射する技術です。
これにより、品種ごとに照射時間や光の比率を調整することで、成長を速めたり、形状を変化させたりすることが可能となっています。
この栽培システムの販売実績は30件を超えており、今後は生産量目標を500グラムに引き上げて売上を拡大させる方針です。
[1801]大成建設×[6923]スタンレー電気
大成建設とスタンレー電気は、2009年に植物工場に関する共同研究を開始し、両社は、植物工場事業への参入を検討する企業向けて、「超省エネタイプの次世代型LED植物工場ユニット」の採用を提案しています。
この植物工場ユニットのセールスポイントは、蛍光灯方式のものと比べると消費電力を約2/3にカットすることができることです。
LEDは湿気に弱く植物工場に使用すると故障することがありますが、スタンレー電気は自動車用ライトで培ってきた防水技術が活かされており、高い品質が保証されています。
まとめ
植物工場は、どこでも栽培できる、栽培効率が良いなど、様々なメリットがあり、国が国策として植物工場を支援しているため、向かい風が吹いている分野でもあります。
今後、国内外で植物工場ビジネスがさらなる飛躍を遂げることを期待したいと思います。
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