以下は、2019年5月27日付の日経新聞朝刊のニュースです。
電柱、重要道から撤去可能に 国交省が防災へ新制度
国土交通省は災害時の物資輸送に重要な道路を対象に、電力会社や通信会社に電柱を撤去させる新たな制度を設ける。
重要区間を指定し、10年間の猶予期間終了後は道路の利用許可を更新しない。
これまで電柱の新設を制限する仕組みはあったが、すでにある電柱を強制的に撤去させる制度は初めてだ。
道路の防災対策を強化する一環で、地震などで倒れた電柱が道を塞いで被災地の救助や復旧を遅らせるのを防ぐ。
出典:日本経済新聞(2019.5.27)
このニュースちょっと難しいんだけど…
もうちょっと簡単に解説して~
電力会社や通信会社は、国などから道路の利用許可を得て電柱を設置しています。
このニュースにあるように、もし利用許可が更新されなければ、猶予期間内に撤去しなければなりません。
なるほど、要はすでに今ある電柱を強制的に撤去させることが可能になるような制度ってことよね!
そういうことです。
まぁ、今ほぼ僕が答え言ったんだけど…(笑)
ところで、どうして国は電柱を減らす方針を進めようとしているの??
1.国が電柱を減らそうとしているのはなぜ!? メリットとは
国が無電柱化を進めるのは、地震などで倒れた電柱が道を塞ぎ、救助や復旧を遅らせるのを防ぐことが目的です。
電線、電柱の乱立する状態では、突風や台風で断線や倒壊の危険があり、近年、ゲリラ豪雨、の風水害が多発していますが、無電柱化を進めることで電柱の倒壊や電線の断線トラブルをなくすことができます。
また、地中に埋められた設備は耐水性があり、水に浸かっても問題が無いことからも、無電柱化により防災力も高まります。
また、良好な景観形成や通行空間の安全性・快適性確保も目的としています。
電柱をなくせば、災害発生時だけじゃなくて車線の幅や歩道を広くしたりできそうね。
費用はかかるけど、メリットは間違いなくあるわね!
2.日本は無電柱化の後進国!?
ちなみに世界的に見ると、実は日本の無電柱化はかなり遅れているんです!
ロンドンやパリなどのヨーロッパの主要都市は無電柱化100%を実現しているとも言われています。
また、香港・シンガポールなどのアジアの主要都市でも無電柱化をほぼ実現しています。
これに対して日本は、2017年度末の国土交通省の調査によると無電柱化率は東京23区で8%、大阪市で6%と非常に遅れをとっています。
冒頭のニュースの通り、国交省ではまず、災害時に緊急車両の通行を確保すべき幹線道路から電柱撤去に取り組み、無電柱化を加速させるとしています。
3.まとめ
無電柱化は最近動きを見せたわけではなく、数年前から少しずつ法整備が進められています。
2016年12月16日には、無電柱化の推進に関する法律が施行され、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、「センター・コア・エリア内の都市計画幅員で完成した都道の無電柱化を完了させるとともに、震災対策上、重要な位置付けにある緊急輸送道路や利用者の多い主要駅などで重点的に整備を進める」としています。
今回の記事では、無電柱化に関してその必要性やメリットを中心に解説しましたが、次のようなデメリットもあります。
合わせて理解しておくようにしましょう。
- 初期費用が電柱方式に比べて高い
- 傷んだ電線類を断線前に目視で発見できないため、破損箇所を特定しにくい。
- 地震などで地下設備が破損した場合、掘り返し工事が必要となり復旧が遅れる。
コストがかかるのは仕方がなさそうね。
デメリットを凌ぐメリットがあるように思うし、無電柱化が広がればいいな~
その通りですね。
国を挙げてプロジェクトが進められている無電柱化に今後も目が離せません。
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