ホテル事業やオフィス賃貸事業を手がける[3258]ユニゾHDが8月6日、[9603]HISによるTOB(株式公開買い付け)に反対するとの意見表明を発表しました。
HISは7月11日からTOBを実施していますが、ユニゾHDはこれまで意見表明を留保していました。
どうしてHISはユニゾHDのTOBを目論んでいるの!?
ホテルへの集客などでシナジー効果が見込めるというのがHISの言い分です。
ただ、HIS側は「シナジー(相乗効果)の創出は期待できない」としています。
なるほどね~
で、こういう事案って頻繁にあるの?
今回のような敵対的TOBは、今年でいうと伊藤忠商事による対デサントに次いで2件目となります。
1.ユニゾHDの大株主に突如姿を現した海外ファンド
今回のユニゾHDを巡ったTOBで、予期せぬ事態が起こっています。
それは「エリオット・マネジメント」の登場です。
「エリオット・マネジメント」って何!?
エリオットは、米国のヘッジファンドです。
過去に韓国のサムスン電子に3兆円の株主還元を要求するなど、物言う株主として非常に有名です。
物言う株主は、積極的に経営改革を迫ることから「アクティビスト(行動主義者)」とも呼ばれ、M&A、低収益事業の売却、コスト削減、手元資金の活用、改革に消極的な役員の退任、改革推進派の役員選任などを要求する傾向があります。
エリオットは2017年、米投資ファンドコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)による日立国際電気へのTOBの際に、株主としてTOB価格の引き上げに成功したことで脚光を浴びました。
今回、エリオットは8月6日に大量保有報告書を出し、ユニゾHD株を5.51%(188万5700株)保有していることを明らかにしました。
筆頭株主だったHISの保有比率が4.79%だったので、エリオットが抜いた結果となります。
過去の例から推測すると、大量に保有してTOBの成否に影響を与え、TOB価格を引き上げることが目的ではないかとの憶測も飛び交っていますが、エリオットの保有目的は、「建設的な対話や助言、重要提案行為等を行う可能性もある」としています。
2.HISのTOB条件は…
HISは、ユニゾHDの普通株式を1株3100円で買い付けるとしており、買付期間を7月11日から8月23日までの30営業日と発表しておりました。
ですが、TOB開始以降、ユニゾHD株はTOB価格である3100円を下回ったのはわずか2日の状況です。
つまりどういうこと!?
要するに、現時点ではHISはユニゾHD株をほとんど買えていないということです。
TOBの成功には、HIS側はTOB価格の引き上げが必要になるでしょう。
HISはTOBで現在4.79%の所有割合を45%まで高める計画です。
しかし、ユニゾHDの株価がこのまま高値圏で推移すれば、8月23日のTOB期間までに予定数の株式を買い付けることは困難とみられます。
なるほどね~
エリオットの目的としては、この場面での「漁夫の利」狙いの可能性もあるってことね。
鋭いですね。その可能性が十分考えれます。
ただし、ユニゾHDも黙ってはいません。
えっ!ユニゾにも何か策略が…!?
今、ユニゾHDは子会社が保有する含み資産の大きい東京・銀座などの不動産を国内企業にどんどん売却しているんです。
これってどういう意味があるの!?
これはクラウンジュエル(焦土作戦)と言って、買収企業の意欲を失わせる買収防衛策なんです。
買収防衛策については、こちらの記事でご紹介しています。
3.まとめ
HISは、ユニゾHDの普通株式を3100円で買い付けを行うとしていますが、既存株主の多くにとってはTOBに応募にするよりも市場で売却した方が有利な状況のため、HIS側から買い付け価格の引き上げの発表があるかもしれません。
このTOBの話は、ユニゾHDとHISだけの話ではありません。
エリオット・マネジメントが今回のTOBの最中、大量保有を行っております。
エリオットは、2019年1月に経営統合した[6770]アルプスアルパインを巡っては、前身のアルパイン株とアルプス電気株を買い増し、経営統合を後押しする立場に回り、アクティビストとしての性格は極めて強いです。
エリオットがホワイトナイトとして存在感を示していくのか、今後の動向にも注目が集まります。
企業買収が題材になった映画はとっても面白いのでおすすめです!
こちらの記事でご紹介していますので、是非ご覧ください♪