以下は、今年12/8(土)のロイターニュースです。
入管法改正案が可決、外国人受け入れ拡大へ 4月施行
外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法改正案が8日未明、参議院本会議で自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数により可決された。
来年4月1日から施行される。
同法改正案は、在留資格として「特定技能1号」「特定技能2号」を新設するもの。
1号の在留期間は最長5年で、家族の帯同はできない。
より熟練した技能が必要となる2号では、家族が帯同できるほか、永住への道が開かれる。
ただ、資格の要件や、どの業種で適用されるかなど、詳細については法案には盛り込まれなかった。法務省では、今後省令などで対応するとしている。
出典:ロイター(2018.12.8)
深刻な人手不足への対応のため、外国人労働者を多く受け入れるための政策として、出入国管理法改正案の審議が行われ賛成多数で可決されました。
これにより、2019年4月から施行されることになります。
この改正案の目玉は、新しい在留資格を設けることです。
外国人が日本に滞在中、生活したり、働いたりするために必要な資格のこと。現在は「技能実習」「家族滞在」など28種類あり、それぞれの資格ごとに、日本で行える活動や滞在できる期間が定められている。
これまで、働くことを認められていたのは医師や弁護士など17資格のみで、高い専門性を必要としない「単純労働」は認められていませんでした。
しかし、近年は、日本で学んだ技能を母国に伝えることを本来の目的とする「技能実習」の枠組みで滞在している外国人が、企業に事実上の単純労働者として使われていると言う現状がありました。
新制度では、日本語能力や仕事をするのに必要なスキルを試験で確かめ、合格して特定技能があると認められれば就労資格を取ることができるようになります。
⇒正式に「労働者」として受け入れる枠の拡大!
特定技能は「1号」と、より難しい試験を課される「2号」に分かれます。
1号は、人手不足が深刻な介護・建設などの業種を想定しており、日本語で日常会話ができ、業種ごとに定めた一定の技能を満たしていると認められれば、最長5年間、働きながら滞在できるようになります。
2号は1号より合格のハードルが高く、更新制で長期滞在も可能になります。
さらに、2号は、1号で認められていない配偶者や子どもの帯同も認められます。
特定技能1号14業種は、次の通りです。
特定技能1号14業種
- 介護業
- ビルクリーニング業
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
1.入管法改正の背景とは
入管法改正を推進する背景として、生産年齢人口の減少が挙げられます。
生産年齢人口とは、年齢別人口のうち労働力の中核である15歳以上65歳未満の人口層のことを指します。
次のニュースは、日本経済新聞の最新の生産年齢人口に関する記事です。
人口、最大の37万人減 生産年齢人口は6割切る
総務省が11日発表した住民基本台帳に基づく2018年1月1日時点の人口動態調査によると、日本人の総人口は1億2520万9603人で、9年連続で減った。
前年から37万4055人減り、減少幅は1968年の調査開始以来、最大。
15~64歳の生産年齢人口は初めて全体の6割を切った。
外国人人口は過去最多の249万7656人で前年比7.5%増えた。
出典:日本経済新聞(2018.7.11)
数字で見るとこの問題、かなり深刻に感じるわね。
地方の中小企業はどこも深刻な人手不足に苦しんでいます。
現状、58万人の労働力が足りないと言われており、このままでは経営を維持することができないという声が上がっています。
2.まとめ
入管法の改正は、日本の生産年齢人口の減少に歯止めをかける一手として有効であると考えられています。
人手不足の企業側からは歓迎する声もありますが、その一方で、課題が残されています。
外国人労働者の受け入れによって、治安の悪化や日本人の雇用喪失などを懸念する声も挙がっています。
今回、賛成多数で可決された法案は、具体的な改正内容は明確にされていない点も問題視されています。
2019年4月の施行までの期間で、規制や改正法案の詳細内容を明確にする必要があります。
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