東証2部、あるいは東証マザーズやJASDAQなどの新興市場から東証1部に昇格する企業が増加しています。
実際、2018年1月から3月の間になんと25社が東証1部に市場変更しました。
東証2部やJASDAQ、マザーズから東証一部へ市場替えが発表されると、株価が高騰することが多くあります。
その理由は、市場の注目が集まったり、TOPIXに組み入れられTOPIX連動型投信の買いが入ったりするためです。
この値上がりを狙う投資法は、広く知れ渡った投資手法ですが、まだまだ有効な投資法ですので、一部昇格の基準のおさらいも踏まえてしっかり理解するようにしましょう。
1.東証1部への市場変更基準とは
東証1部への市場変更には、主に下記のような基準があります。
東証一部 市場変更基準
- 時価総額:40億円以上(JASDAQからの場合250億円以上)
- 株主数:2,200人以上
- 流通株式数:2万単位以上
- 流通株式比率:上場株券などの35%
- 単元株式数:100株単位
- その他:過去5年間の有価証券報告書に虚偽記載がないなど会計上の問題がないこと
出典:日本取引所グループ一|部指定・指定替え・市場変更基準
上記以外にも細かい基準はいくつかありますが、全てを把握する必要はありません。
最も注目すべきポイントは「流通株式」「株主数」「時価総額」です。
一部鞍替えを目指す企業にとって、特に「株主数」の基準を満たすことが最も難しい壁となっています。
これら3基準を満たすためには、株主の増加、株式の流動性向上が必要となり、満たすために企業が実施する施策は、主に以下の3つです。
- 株主優待新設(拡充)
- 株式分割
- 立会外分売
これらの実施により、必然的に株主数の増加、株式の流動性向上を達成することができます。
市場変更の基準と昇格基準を満たすために必要な施策を以下の通りまとめました。
出典:筆者作成
⇒株式の流動性を高めるために立会外分売や分割を行っている銘柄や、時価総額を高めるために株主優待の新設・拡充を行っている銘柄は、有力な東証1部昇格候補!
「株主数」の基準は、企業にとって大きな壁になると言いましたが、優待新設によって、株主数が激増した例もあります。
[6356]日本ギア工業は優待新設で、新設前の1522名から基準の2200名以上を大きく上回る15664名に急増しました。
上記の東証一部の上場基準を満たしたら、自動的に東証一部に昇格するわけではなく、その企業が一部へ市場変更する意思決定をしなければ、東証一部に指定されません。
実際に、[2805]エスビー食品、[9708]帝国ホテルなど、万年東証2部という企業もあります。
まとめ
東証1部昇格を狙っていて株主数が足りない場合、立会外分売で大株主の株を個人投資家に幅広く売る、株主優待の新設や拡充によって、株主数と時価総額を増やそうとする企業があります。
新興市場から東証2部に昇格、立会外分売で株主数増加、時価総額上昇狙いで株主優待新設・拡充といった事象を立て続けに連発している企業は、市場変更の意思があると考えて先回り買いをすることができます。
しかし、事前に市場変更を示している企業や元々割高な株などは、期待が既に株価に折り込まれている場合もあり、思うように値上がりしない場合もありますので、その点には気をつけるようにしましょう。
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