マイさんは「セルロースナノファイバー」をご存知ですか?
何それ?ファイバーが繊維ってことならわかるけど…
植物の主成分であるセルロースから抽出した繊維状の材料で、直径が数~数十nm、長さが0.5~数μmの極めて細く短い繊維。
かつて炭素繊維が夢の素材と呼ばれ、現在では実用化されていますが、近年では、炭素繊維に次ぐ新素材として注目されているんですよ♪
セルロースナノファイバーは、2030年に国内で1兆円市場へと拡大すると言われています。
CNFは、樹木、雑草や野菜・果物の絞りかす、おから、綿製品の古布、稲わらなど様々なバイオマスから取り出すことができます。
⇒植物資源の有効活用につながり、環境負荷が小さく、持続型資源として大注目!
国土面積の7割が森林の日本にとっては、資源は豊富にある状態なのね!
その通りです!植物由来の材料のため枯渇の心配がない上に、環境負荷が低いのも魅力の一つです。
今回の記事では、セルロースナノファイバー(CNF)の特徴と実用イメージについてご紹介します。
1.CNFってどうやって作るの!?
セルロースナノファイバーの製造工程は、簡単に説明すると次の通りです。
セルロースナノファイバーの製造工程
木材を細断し、チップにする。
↓
そのチップに化学的または機械的処理を施して、木材繊維(パルプ)を取り出す。
↓
取り出されたパルプを解きほぐし、ナノレベルまで微細化する。
セルロースナノファイバー(CNF)の完成!
化石燃料や鉱物などの天然資源とは違い、植物由来なので栽培で再生産でき、持続可能性が高い点が強みと言えます。
さらに、栽培中は光合成により二酸化炭素を吸収するため、原料製造時の二酸化炭素排出量も抑えられます。
2.CNFの特徴と転用できる産業とは
セルロースナノファイバーの実用が想定されている分野は非常に幅広く、次のような分野での活躍が期待されています。
- 塗料
- 食品
- 化粧品
- 文房具
- 生理用品
- 靴・衣類
- 建材
- 自動車
- 電気・電子部品 etc…
現在、一般消費者向けにCNFが実用化されているのは、文房具やおむつなどです。
かすれにくいボールペンのゲルインクとして採用されているようです。
CNFの5つの特徴
①軽くて強い
重さは鉄の5分の1程度であるのに対して、強度は約5倍で、さらに耐衝撃性・耐熱性にも優れています。
使用例:樹脂やゴムに混ぜれば自動車や航空機のボディや部品を作ることができ、その他スマホや家電などこれまで樹脂で作られてきた製品にも使用できる!
②表面積が大きい
CNFは非常に細い繊維なので、同じ重さで比較すると表面積が大きいという特徴があります。
使用例:CNFで作ったフィルターは小さなチリでも簡単に捕集でき、表面積が大きいことで消臭剤や抗菌剤を付着させやすいので消臭シートに使用すると効果が高い!
③透明である
CNFは、透明であるため高機能性シートへの応用に期待ができます。
使用例:スマホの画面に貼る透明シート、ガラスの代わりに住宅や自動車の窓に使用することも可能!
④チキソ性が高い
チキソ性とは、「止まっている時は固まっているが、力が加わると溶け出す、そして放っておくと再び固まる」という性質です。
使用例:日焼け止めクリームには液だれ防止のために粘り気を出す増粘剤が使用されており、日焼け止めを塗るとベタベタして不快な感じがするのは増粘剤が原因です。
⇒日焼け止めにCNFを混ぜれば、塗った後にすぐ乾きベタつき感をを感じない!
⑤水分を抱き込む性質がある
水分を抱き込む性質があるため、冷凍前に食べ物に混ぜておくと、解凍した際に水分や旨味成分が外へ流れ出ません。
使用例:CNFを活用することで、冷凍の魚や肉の味落ちを防ぐことができ、アイスクリームに混ぜておくと溶け出す時間が遅くなる!
3.まとめ
今回の記事では、今、最も注目度の高い究極の「グリーン材料」セルロースナノファイバー(CNF)についてご紹介しました。
自動車や半導体などの工業用途でも開発が進んでいるため、今後の用途開発の進展と市場拡大への注目度がいっそう高まっています。
実際に、自動車のドアやボンネットの材料としてセルロースナノファイバーを樹脂に10%混ぜることで、強度を保ちながら車の重さを20%軽量化し燃費を向上できるとして、産学の共同研究が行われています。
また、植物由来であることから生体に親和性があり、人体に取り込まれても害が小さいため、人工血管や軟骨など医療用材料としての応用も検討されています。
様々な分野でもっと実用化されるといいわね~
CNF、イイところ尽くしに見えたけどマイナス面とかって無いの?
普及に向けて壁になるのは、製造コストが高いことです。
将来的には、炭素繊維の6分の1程度まで下がるとの試算も出ているようですが…
国が積極的に補助金で支援してほしいものね…(笑)
セルロースナノファイバー関連銘柄はこちらの記事でご紹介しています↓
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