株式投資

四季報活用術・その1 「連結事業」をチェックして企業のビジネスを把握しよう

会社四季報

 

あなたは、四季報である銘柄について確認するとき、まず目を向けるのはどの欄ですか?

恐らく、社名とその会社の【特色】や【連結事業】が記載された枠右上の欄をじっくりと読む人はほとんどいないと思います。

 

今回の記事では、四季報「連結事業」欄の読み方について、[6622]ダイヘンの事業を例に3STEPで解説します。

同社は1919年、電力会社向けの柱上変圧器製造専業メーカーとして「大阪変圧器株式会社」として創業し、その社名が今の「ダイヘン」の由来になっています。

けーさん

この記事を通して、四季報を見たことはあるけど、投資に活用する方法はよく知らないという方にとって参考になればと思います。

 

1.「連結事業」欄で企業のビジネスを把握する

次の画像は、会社四季報2018年秋号の[6622]ダイヘンのページです。

会社四季報

 

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「連結事業」欄を見てみると、「電力機器44(6)、溶接メカトロ30(8)、半導体機器26(17)、他0(43)【海外】23 <18・3>」という記載があります。

この内容からまず、ダイヘンが社名の由来になっている変圧器部門の「電力機器」だけでなく、「溶接メカトロ」「半導体機器」の3つの事業を展開していることがわかります。

ちなみにダイヘンは、この3部門(小型変圧器、アーク溶接機器、半導体機器)それぞれにおいて国内トップシェアを誇っています。

 

2.事業名の後ろの数字で売上構成を把握する

続いて、各事業の後についている数値について見てみましょう。

数字は、事業名のすぐ後ろについているものと、その後ろにカッコ書きされているものと2つがあります。

それぞれ意味が大きく異なりますので、説明していきます。

 

カッコのついていない数字は、ダイヘンの売上高全体に占める各事業の売上の割合を示しています。

つまり、ダイヘンは売上全体のうち「電力機器」で44%、「溶接メカトロ」で30%、「半導体機器」で26%という割合になっていることがわかります。(その他事業が0)

これらを足すと、44+30+26=100になります。

 

けーさん

社名だけあって、ダイヘンの売上の半分近く(44%)を変圧器などの「電力機器」で構成されていることがわかります。

 

3.カッコ内の数字は利益率!

最後に、カッコ内の数字を確認します。

ダイヘンは「電力機器44(6)、溶接メカトロ30(8)、半導体機器26(17)、他0(43)」となっています。

マイ

あれっ、カッコ内の数字「(6)」「(8)」「(17)」「(43)」って、足しても全然100にならなくない??

 

実はこのカッコ内の数字は、各事業の利益率を示しています。

ダイヘンの場合、主力3事業の利益率は、

「電力機器」…4%
「溶接メカトロ」…8%
「半導体機器」…17%

けーさん

「半導体機器」の事業がダントツで高い利益率であることがわかります。

マイ

すごい!17%って、製造業の中ではかなり高水準ね!

 

※四季報記載の「利益」とは、企業が決算短信のセグメント別業績で公表している利益のことを指し、多くの場合は「営業利益」のことです。ただし、一部「経常利益」を採用している企業もあります。

 

けーさん

「連結事業」欄の読み方がわかったところで実践です。

わかりやすいように、仮にダイヘンの売上高が100億円であるとして計算してみましょう。

 

ダイヘンの売上高が100億円とすると、各事業の売上高は、

  • 電力機器 100億円×44%=44億円
  • 溶接メカトロ 100億円×30%=30億円
  • 半導体機器 100億円×26%=26億円

となります。

 

そして、事業ごとの利益は

  • 電子機器 44億円×6%=2.64億円
  • 溶接メカトロ 30億円×8%=2.4億円
  • 半導体機器 26億円×17%=4.42億円

と算出することができます。

マイ

実際に計算してみると一目瞭然ね。

半導体機器の売上高に社運がかかっていると言っても過言ではないわ。

けーさん

その通りですね。数値に表してみると、ハッキリとわかります。

ちなみに、「電力機器44(6)、溶接メカトロ30(8)、半導体機器26(17)、他0(43)【海外】23 <18・3>」の【海外】23というのは、その企業の海外売上比率を示しています。

マイ

そうなんだ!

どうしても、四季報を見るときは、見出しや欄外のマークを見てしまいがちだけど、「連結事業」欄にも意外と情報量があるわね。

 

[6622]ダイヘンの四季報「連結事業」欄からわかること
  • 「電力機器」事業が全体の半分近い売上を占めているにもかかわらず、全体のたった1/4の売上高の「半導体機器」事業の方が主力3部門の中で最も利益を上げている。(半導体事業の利益率が高い)
  • 半導体機器の利益割合が非常に高いため、会社業績は半導体業界の市況に大きく左右される。
  • 「連結事業」欄に【海外】23と海外売上比率は同業他社に比べて低水準のため、為替が業績に与える影響は大きくない。

 

まとめ

株式投資

解説をしました通り、会社四季報の「連結事業」をチェックすることで、その企業がどのようなビジネスを行い、利益を出しているのかを把握することができます。

様々な銘柄の「連結事業」をチェックすると、新たな発見があるかもしれません。

次に四季報を読むときは是非参考にしてみてください。