1.RPAってなに?
RPAとは(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、
人間が手作業で行ってきたホワイトカラー業務を、AIや機械学習などを取り入れたロボットに代行してもらうことにより、業務の自動化や効率化を図る取り組みを指す言葉です。
製品組立や荷物の運搬といったブルーカラー業務をサポートする産業用ロボットに対し、RPAはデータ入力や情報チェックなどのホワイトカラー業務をサポートします。
また、事務処理などの定型作業をRPA化する取り組みだけでなく、RPAツール本体やRPA業務自動化ソリューションといったサービスをRPAと呼ぶこともあります。
高クラスのRPAはルーティンワークだけでなく、詳細分析や自己決定といった高度な作業行うことができ、近年、企業のRPAへの関心が高まっています。
2.どうして注目が集まっているの?
(1)人手不足の進行
RPAに注目が集まっている最大の理由は、生産年齢人口の減少による人材不足への備えです。
日本政府は『平成28年版高齢社会白書』において、15歳以上65歳未満の人口層を指す生産年齢人口は2015年から2060年にかけておよそ3290万人減少していくと予測しています。
⇒2060年には2015年の4割超の人材が姿を消すことに・・・
生産性の向上や業務補助を目的としてアウトソーシングや派遣社員が活用されていますが、当然ながら人材がいて初めて成立するします。
今後、人材不足時代に突入してからも安定して業務委託や派遣受け入れを行えるという保証はないため、経営者の多くは危機感を抱いているのです。
このような現状に頭を抱える経営者に対し、
RPAツールやRPAソリューションが、アウトソーシングや派遣社員に変わる新しい業務パートナーとして注目が集まるようになったのです。
2.データの電子化・クラウド環境の整備
これまで紙媒体として扱われることが多かった契約書類やアンケート用紙、会議資料などが多くの企業でデジタル化されていることもRPAに注目を集める一因となっています。
RPAはデジタルデータの整理や処理を得意とする一方でアナログデータを正確に扱うことを苦手としていたため、デジタル化が進まない企業においては必要性が乏しく、長きにわたり日の目を浴びることができませんでした。
しかし、ITインフラの普及やクラウドシステムの登場、大容量メディアの低価格化など、中小企業でもデジタルデータを扱いやすい環境が整備されたことにより、RPAの活躍機会が急拡大したのです。
3.AI技術の高度化
AI技術の高度化はRPAへの注目の高まりに拍車をかけました。
デジタルデータを決められたルールにしたがって処理するだけでなく、紙媒体やスキャンデータなどの手書き文書を正しく読み取り、デジタル化した上で処理を行い、予め用意された複数の対処方法から適切なものを選択して実行できるようになったことで、RPAの対象業務範囲は一気に拡大し、多くの需要が発生したのです。
問い合わせ内容に対する自動回答や複数データの分析による売上予測など、経営戦略の幅は飛躍的に拡大すると考えられます。
3.RPAは人の仕事を奪う!?
野村総合研究所(NRI)は、英国のオックスフォード大学との共同研究の成果として、「日本国内における労働人口の約49%が今後10~20年の間にAIやロボットに置き換え可能になるであろう」という驚愕の試算結果を公表しました。
この研究結果が日本国内に存在する約半数の仕事が必ずロボットに奪われてしまうということを示したものでないことは明らかですが、49%という高い数値は『自分の仕事も将来、ロボットに取って代わることになるかもしれない』という不安を感じさせるには十分でしたので、この共同研究結果は大きな注目と関心を集めることになったのです。
しかし、ここで1つ誤解を解いておかなければならないことがあります。それは『AIやロボットが人間の仕事を奪う』という認識です。
確かにAIやロボットは人間よりも高い作業性と正確性を持ち合わせていますが、その能力を最大限に活かすためには人間によるサポートやメンテナンスが欠かせません。
また、RPAに業務を引き継ぐことにより、フリーとなった従業員を活用することによって更なるビジネスチャンスを生み出すこともできます。
RPA活用により、
- 人手不足を理由に停滞していた新規事業に着手できる
- 創造的業務を人間が担当し、入力業務や管理業務、判断業務をRPAが担当することで組織力を最大化させる
が可能になることでしょう。
RPAツール導入による組織内の業務改革(改善)を実現させるためには、RPAに対するイメージを『仕事を奪い合う』といったネガティブなものから、『共に支え合う』というポジティブなものに変えておかなければなりません。
従業員に対する意識改革は、人間とRPAが良好な関係を築き、共存していくことができる未来の実現に向けて絶対に達成しておかなければならない重要課題と言えるでしょう。
4.まとめ
- RPAとは、AIや機械学習システムを搭載したロボットにより、人間の業務の自動化や効率化を図る取り組みのことを指し、RPAソフトウェアロボットそのものも指す言葉である
- RPAは最新のルールエンジンやAI、機械学習を最大限に活かすことで多くのホワイトカラー業務を代行することができる
- 高クラスのRPAは、ルーティンワークだけでなく詳細分析や自己決定といった高度な作業も行うことができる
- RPAの活用により人間の仕事が奪われるわけではなく、人間を新たな業務に配置できるため、更なるビジネスチャンスの創出に繋がる。