株式投資

[MBOから13年] アパレルのワールド ついに再上場!? その目的とは

ワールド 再上場

 

以下は、2018年6月22日のニュースです。

 

ワールド、9月再上場へ…事業拡大に向け資金調達(2018.6.22)

アパレル大手のワールド(神戸市)が株式を再上場する方向で調整していることが22日、分かった。関係者が明らかにした。9月中の東証1部上場を目指すという。平成17年に経営陣による自社買収(MBO)を実施、上場を廃止していた。サービスを拡大するなど成長投資に向けた資金調達に乗り出すとみられる。

ワールドは「アンタイトル」や「インディヴィ」など婦人用の衣料品を中心に、百貨店やショッピングセンターなど全国の約2400店舗で販売を展開している。

17年当時、上場廃止の狙いを「短期的な株主利益に左右されず長期的な戦略を展開できる」と説明していた。その後、不採算店舗の削減など構造改革を進め、29年4月に事業持ち株会社体制に移行した。株式は現在、日本政策投資銀行が運営するファンドが50%弱保有している。

30年3月期連結決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が前期比1.7%減の2458億円、純利益は17.3%減の67億円だった。

出典:産経WEST

 

アパレル大手のワールドが再上場に向けて調整を進めているようです。

2005年にMBOにより上場廃止した同社ですが、これが実現すると13年ぶりの株式公開(上場)となります。

 

 

MBOについてはこちらをご参照ください↓

保有株がTOB(MBO)されたらどうする!? 株価の行方・上場廃止前後の対応は?

 

 

ちなみに、こちらがワールドがMBOによる上場廃止を発表した当時のニュースです。(2005年7月25日)

<アパレル大手>ワールド、経営陣による自社買収を実施

アパレル大手のワールド(神戸市)は25日、経営陣による自社買収を実施すると発表した。

マネジメント・バイアウト(MBO)の手法を用い、買収額は最大2200億円規模に上る。成立すればワールド株は非公開となり、上場廃止になる見通し。上場企業が非公開化を目的にMBOを実施するのは国内で初めて。

出典:毎日新聞

 

MBOによる上場廃止はワールドが初だったとは衝撃ですね。

 

MBOは一般的に、実際は経営陣による買収ではなくて、実質的には買収ファンドによる買収であり、それにマネジメントも少し参加するという形式がほとんどです。

しかし、ワールドのMBOは本当の意味での経営陣、社員による買収でした。

 

 

上場廃止後のワールドは・・・

ワールド

 

ワールドは、“長期的な視野で機動的に経営する”という理由で上場廃止に踏み切りました。

 

リーマンショック後、若者の百貨店離れなどによるアパレル不況で業績が悪化しました。

 

この時、再建を任され、2015年に社長の座についたのは上山健二氏でした。上山社長は大手銀行出身で、長崎屋などの再建に道筋をつけた実績がありました。

 

上山社長は、16年3月期に13ブランド・約500店舗の閉鎖、大規模リストラを実行し、17年4月には持株会社体制に移行するなど、改革を進めてきました。

⇒その結果、18年3月期連結決算では、営業利益132億円(15年3月期の約2.4倍)を計上、業績回復を果たしました。

 

ワールド再上場の狙いは?

ワールド

 

今後はネット通販事業の基盤整備やM&Aなど成長投資のための資金を、上場により確保する狙いがあるようです。

実際、昨年から今年にかけては雑貨・インテリア販売のアスプルンド、中古衣料品店RAGTAGを運営する「ティンパンアレイ」を買収したり、クラウドファンディングの「キャンプファイヤー」に出資するなど、M&Aに関して積極的な動きが見られます。

 

また、ワールドは今期(19年3月期)、従来の総合アパレル企業から事業領域を広げ、ファッション業界における総合サービス企業グループを目指す新・中期ロードマップを明らかにしています。

15~17年度の構造改革を柱とする中計を達成し、この間、培ってきた事業基盤の人材や設備、システム等を活用し事業拡大に取り組んでいます。

 

 

また、同社は今年度から事業セグメントを以下の4つに区分しました。

  1. 国内外の小売業、卸売業に取り組む「ブランド事業」
  2. M&Aや出資を推進する「投資事業」
  3. EC事業やデジタルソリューション支援に取り組む「デジタル事業」
  4. 生産・調達や空間創造、事務・業務支援に取り組む「プラットフォーム事業」

⇒ブランド事業の成長を進めながら、PF、デジタル、EC事業の利益構成比を高めていくことを方針としています。

 

まとめ

ワールド

 

今回のワールド再上場のニュースは、アダストリアやコックスの株価が低迷している中、ファッション業界にホットな話題となりました。

 

ワールドの再上場について、日経新聞のニュースでは“9月に東証1部に上場する”とまで書かれていましたが、実現するのでしょうか。

この報道が事実であれば、13年ぶりの再上場となりますが、あくまで同社の広報は「現段階において決定している事実はない」としているようです。

 

ワールドからの正式発表はまだですが、今後の動向には目が離せません。