次の記事は、今年12月の中野冷機の配当性向に関するニュースです。
中野冷機、配当性向100%に 3年間限定 自己株消却も
大型冷蔵庫や冷凍庫を手がける中野冷機は26日、2018年12月期の年間配当を従来見通しの95円から積み増し、320円にすると発表した。
同社の1株あたり純利益は321円の見通しで、配当性向はほぼ100%になる。同時に自己株式の消却も発表。株主への利益配分を強化する。
中野冷機はこれまで、配当方針として配当性向30%を掲げていた。
これを一転し、今期から3年の限定として100%とする方針。
「投資家と面談する中で、内部留保や現預金が多いとの意見があり、還元強化を決めた」と渡辺基二取締役は語る。
出典:日本経済新聞(2018.12.26)
ところでマイさんは配当性向とは何かわかりますか?
あれ…配当利回りとは違うの!?
配当性向とは、その期の純利益から、配当金をどのくらい支払っているかをパーセンテージで表したものを指す。
配当性向とは、投資を行う際に企業を評価する指標の一つで、計算式は次の通りです。
配当性向(%)=1株あたりの配当額÷1株あたり当期純利益×100
なるほど。じゃあ“配当性向100%”は、その年度の利益を全て配当に回すってことね。
その通りです。
ただし、配当性向を過剰に高めることは投資家の賛否が分かれます。
1.配当性向を100%にすると…
配当性向を100%にすると、その年度に計上した利益を100%株主に還元するということになります。
それはすなわち、成長のための資金を会社に蓄えないということを意味します。
⇒M&A戦略や工場建設などを行う場合、銀行借入あるいは増資を行うことが必要に!
これについては一部、タコ足配当銘柄の解説記事でもご紹介しています↓
※タコ足配当銘柄とは、企業内にプールした資金や売却資産から配当金を捻出するような銘柄を指し、配当方針を配当性向によって決定している会社は、タコ足配当銘柄とは言いません。
配当性向が100%として有名な銘柄に[7865]ピープルがあります。
2.配当性向100%の[7865] ピープル
ピープルは、バンダイナムコ系列の会社で、乳幼児向け知育玩具の企画・開発を手がけています。
利益が出なくなれば全く配当は出さないと明言しているため、配当方針としてはわかりやすいと言えます。
100%ってのはさすがに極端かなと思うけど、配当目当てで短期間投資する分にはいいかもね。
3.中期計画で宣言!配当性向100%に引き上げた[2178]トライステージの意図とは
[2178]トライステージはかつて、財務健全性重視の従来方針を大転換し、2015年2月期利益をすべて株主への配当に回しました。その後、2016年2月期から2018年2月期まで「配当性向100%」を継続することを今春発表の中期計画に明記しました。
古いニュースですが、2015年の社長インタビューで配当性向を100%に引き上げると宣言したトライステージについてご紹介します。
トライステージ妹尾社長の成長戦略と配当方針インタビュー(抜粋)
配当性向100%に引き上げるのは、ズバリ長期的なファンづくりが狙いです。
当社に魅力を感じて長期にわたって株式を保有する安定株主を増やしたいと考えています。
これまで、おカネの使い方に関しては戦略的な投資を模索してきました。
投資機会が訪れれば手元の現金で賄うと言い続けてきましたが、振り返ってみると、内部留保がたまる一方で、M&Aについては5億円程度の比較的小規模な案件しかありませんでした。
当社は装置産業ではなく、大きな投資をするわけでもない上、内部留保は現在の状況だと低利での運用しか使い道がありませんでした。
よって、株主に合理的に説明できない状況でしたので、配当で株主に還元することを決めました。
また、ROEを重視する投資家が増える中、内部留保を溜め込みすぎている企業は悪い意味で目につく時代になっています。
無防備なキャッシュリッチ企業は買収リスクが高まりかねないという観点からも、配当性向を引き上げることとしました。
出典:日経ビジネスオンライン(2015.7.30)
キャッシュを溜めこんだ会社は買収のターゲットになりやすいのね~
キャッシュリッチな企業かどうかを確かめる方法を、こちらの記事でご紹介しています↓
配当方針は各社それぞれ異なっていますが、社長インタビューやIRへの問い合わせ、株主総会の質疑応答などから確かめると会社の経営スタンスがわかりますよ♪
3.まとめ
配当性向100%企業とは
配当性向100%…その年度の1株あたりの純利益=1株あたり配当
計上した利益を全て配当として株主に還元するため一見魅力的に感じるが、それは今後の成長のための資金を会社に蓄えないことと同義のため、長期的な投資先としては魅力的とは言えない。
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