夢の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」について、こちらの記事でご紹介しました。
CNFの強みは、素材自体の性質もさることながら、化石燃料や鉱物などの天然資源とは違い、植物由来なので栽培で再生産でき、持続可能性が高い点が挙げられます。
また、2030年に国内で1兆円市場へと拡大するとも言われています。
現在、身近な例では、文房具やおむつ、音響機器などの素材に採用されています。
こちらのヘッドホンにCNFが採用されています↓
CNFを使用することで原音を忠実に再現できるようになったそうです。
とは言っても、手が出にくい価格です…
今回の記事では、セルロースナノファイバー関連銘柄についてご紹介します。
セルロースナノファイバー(CNF)関連銘柄5社
[3863]日本製紙
木材やパルプを取り扱う技術を持つ製紙メーカーがCNFの分野でリードしています。
製紙メーカー国内2位の[3863]日本製紙は、2015年10月にCNFを使った大人用の紙おむつを業界で初めて市場に送り出しました。
CNFは表面積が大きいので、表面に金属イオンや金属ナノ粒子を高密度に付着させることが容易です。
同社はその性質に着目し、抗菌・消臭効果のある金属イオンをCNFに付けたままシート化することに成功し、大人用の紙おむつの新ブランド「肌ケア アクティ」シリーズにこのCNF消臭シートを採用しました。
消臭効果は、従来のおむつの3倍だそうです。
同社は2007年から本格的にCNF製造技術の開発に取り組み、2013年10月には山口県に実証生産設備を設置しています。
2017年4月には宮城県で、年間生産能力500トンの設備を設置し、量産体制を整備しています。
[3877]中越パルプ工業
中越パルプ工業、九州大学と提携関係にあり、日本製紙とは異なる方法でパルプからCNFを取り出しています。
同社は、2013年からCNFのサンプルを販売開始しており、2017年には鹿児島県に年間生産能力100トンのCNF工場を建設しています。
[3861]王子ホールディングス
国内製紙業界首位の王子ホールディングスは、自動車、航空機、電機メーカーなど約200社と秘密保持契約を結び、新製品の共同開発を進めています。
同社は、CNF100%の透明シートの開発にも取り組んでおり、ガラス並みの透明度を実現しており、透明シートでは他社より先行しています。
また、増粘剤用のCNFについても実用化に向け販売が開始しています。
[3880]大王製紙
業界4位の大王製紙は、2016年に愛媛県に年間生産能力100トンの実験生産設備を建設しました。
2020年には本格販売を進めるため、2017年にはドライパウダー状のCNFを生産するための設備を設置しています。
[4461]第一工業製薬
第一工業製薬は、工業用薬剤のトップメーカーで、界面活性剤やウレタン、樹脂用添加剤などを製造しており、技術力には定評のある会社です。
同社のCNFは、[7976]三菱鉛筆のボールペン「ユニボール シグノ UMN-307」のインクに使用されています。
三菱鉛筆は、CNFの「チキソ性」を評価して採用を決めたそうです。
CNFがボールペンに採用されてどんな風に役立つのかな?
通常、ボールペンのインクは液漏れを防ぐために増粘剤が加えられています。
しかし、増粘剤とインクがうまく混ざり合わないと文字がかすれたりインクが固まって出てきたりします。
そこで、増粘剤としてCNFを使用すると、ペン先に加わる力によってCNFがサラサラになり、インクと混じり合ってきれいに字を書くことができます。
CNFがボールペンに使用されるのはこれが世界で初めてのことで、このボールペンは2016年の伊勢志摩サミットでは応援アイテムに採用され、各国の代表団の人々に使用されたそうです。
この他にも、スプレー式の化粧品にも第一工業製薬のCNFが使用されており、一般消費者の身近なところで大活躍しています。
第一工業製薬すごい!製紙メーカーだけがCNFを製造しているわけじゃないのね!
まとめ
セルロースナノファイバーが自動車や食品などの素材として広く採用される日が来るのはまだ先かもしれませんが、一般消費者の身近で徐々に採用され始めています。
今後のCNFの展開には目が離せません。
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