久々の個別銘柄に関する記事です。
今回は先日通期決算を発表したラクスルについてです。
東証一部昇格後、初の決算でした。
ラクスルという会社を知っていますか?
社名だけ知ってる!CMで見たことあるわ~
ラクスルってどんな会社!?
ラクスルは、広告のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」と物流マッチングサービス「ハコベル」が主力事業です。
1.ラクスルの2019年7月期本決算
3言で要約 2019年7月期本決算
- 通期売上高は17,168百万円(前期比+53.6%、業績予想比+5.9%の上振れ)、このうち印刷事業ラクスルは15,530百万円、運送事業は1,542百万円。
- 第4四半期は、長期連休による逸失売上の発生や、印刷事業への積極的な広告宣伝投資と運送事業への投資により営業損益600万円の赤字。
- 通期営業利益は143百万円(前期比+54.6%)
ここからは、12日に発表した開示から注目したポイントを3つ挙げていきます。
Point1 ユーザー数の推移
累計登録ユーザーの推移
出典:ラクスル 2019年7月期決算説明会資料(2019.9.12)
ユーザー数は堅調増を維持しており、伸び率も低上昇しています。
売上高レベルで見ると、前の四半期から落ち込むこともありましたが、着実にユーザー数を獲得している状況です。
ビジネスモデル的には、獲得したユーザーはストック性が高いところがいいと思います、
ストック性がある事業を展開する会社に限ってストックストックって連呼しないのはなんなんだろうか、逆もまた然りですが…
Point2 広告宣伝費比率の推移
ラクスルの今回の決算説明会資料の最大のポイントはこの広告宣伝費の項だと思います。
全社広告宣伝費・広告宣伝費比率の推移
今までの好調なユーザー増は、広告宣伝費を投入していたからでは!?
と思った方がいるかもしれません、しかし、実際は広告宣伝費は、上図の通りです。
売上高の割合に対して広告宣伝費の割合が減っているわ!
どうしてこんな風になるの!?
この理由は書いていませんが、リピート性が高いことが考えられます。
広告宣伝費を落としながらも着実にユーザー数を増やせているので、理想的な状態だと思います。
Point3 資金の借入
9月12日の通期決算とともに、資金の借入が発表されました。
資金の借入に関するお知らせ(2019.9.12)
借入先は、三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンク、りそな、商工中金、日本生命の大手機関で、総額50億円を調達します。
ちなみに、借入後の現預金は100億円を超えることになります。
2.まとめ
けーさんの決算読みまとめ
まず、ラクスルのビジネスモデル的に売上高と粗利の成長や粗利率を重点的に見る必要があります。
売上高の割合に対して広告宣伝費の割合が減っている状況は、非常に評価できると思います。
広告宣伝費を抑えている中でも、ユーザー数の伸び率は堅調であり、またストック性が高いことが予想されます。
現在、印刷事業に次ぐ事業として育成中の運送事業についても、登録トラック数の伸びも非常に勢いがあり、同事業の売上高についても前期比倍増しており、非常に好調です。
運送事業については、来期も倍々ゲームの成長が見込めそうです。
来期の展望について、決算説明会資料でコミットした売上高、売上総利益30%以上の成長について、細かな数字については非開示としています。
ただし、これが、最低ラインとして設定した30%成長にとどまるとしたら、失望売りは避けられないことでしょう。
今後、ラクスルが粗利率を高めるために、個人的に注目したいのは、①高付加価値商品の商品ラインナップが充実するか、②印刷を依頼した際の発注処理の簡素化がさらに図られるか、この2点が鍵を握ると思います。
ラクスルは、今年8月に東証一部への市場変更を果たしています。
印刷事業のラクスルはしっかり利益を出せており、運送事業のハコベルは現在投資フェーズにあるという状況です。
ハコベルの売上高は前期比で倍増しており、2018年12月から翌年8月までの間に登録トラック数が倍増している点にも注目です。
決算説明資料がシンプルで知りたい情報がコンパクトにまとまっていて個人的に好印象な会社です。
決算説明資料7ページの“ミルフィーユ”みたいなチープな説明ページは非常に微妙ですが…w
確かにわかりやすい資料ね!
あと、経営陣が顔出しで紹介されている点もイイですね!
ラクスル株式会社 経営陣紹介
出典:ラクスル 2019年7月期決算説明会資料(2019.9.12)
確かに、事業を推進している経営陣の顔が見えるのは、会社として透明性があってイイわね。
経営陣の顔出しは、株価パフォーマンス上がりやすいという調査も行われているため、捨て置けない情報です。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
>>参照記事:優良企業の新法則! 役員顔出し企業の株価パフォーマンスが高いって本当!?
>>参照記事:優良株の新法則!? 役員顔出し企業を一挙ご紹介!(2018年上半期・IPO編)
20年7月期業績予想は非開示としていますが、売上高は前期比30%以上の成長を目標としています。
前の章で触れた借入金を使った新事業も考えられるという点からも、今後の展開にも注目です!
~合わせて読みたい~