3月30日の発表で、ジャパン・ディスプレイ(JDI)が第三者割当増資を発表しました。
ところで、第三者割当増資とはいったい何でしょうか?
今回は、第三者割当増資について解説していきます。
1.第三者割当増資とは
会社の資金調達方法の一つであり、株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えておこなう増資のこと。
株式を引き受ける申し込みをした者に対しては、新株もしくは会社が処分する自己株式が割り当てられます。
第三者割当増資は、会社の株主資本を充実させ、財務内容を健全化させます。
第三者割当増資は、未上場会社が資金調達の一環として行われることが多く、取引先・取引金融機関・自社の役職員などの縁故者に権利を与えることが多いことから、「縁故募集」ともいいます。
上場企業の場合は、主に資本提携や事業支援・会社再建のために資金調達を必要とする場合に行われます。
2.第三者割当増資の株価への影響は?
公募増資の場合と異なり、市場に株式が流通するわけではありませんが、発行済株式総数の増加は避けられません。
発行される株数が増えるので1株あたりの利益(EPS)が希薄化されます。
⇒希薄化されるので、既存の株主にとってはマイナスな要素となり、株価が下がる場合が多い。
また、場合によっては株式を引き受ける第三者にとって有利な条件となっていることも多く、既存株主には不利に働くこともあります。
一方で、資金調達の目的が魅力ある内容であり、1株当たりの利益や純資産が増加していく期待の高い場合、逆に株価が上がる場合もあります。
増資資金の使途によっても異なりますが、手取り資金を将来の利益獲得のための積極的な投資に使うような増資であれば、長期的には企業価値向上につながる可能性も大いにあり得るということです。
その場合、増資は目先はマイナスであるものの、長期的に見ればプラスととらえることがあります。
3.JDI、第三者割当増資の結果は…
以下、2018年3月30日のニュースからJDIの第三者割当増資について要約しました。
ジャパン・ディスプレイは3月30日の取締役会で、総額550億円の資金調達を決定しました。
海外の投資ファンドや国内企業を引受先に350億円の第三者割当増資を行い、さらに資産売却の形で政府系ファンドの産業革新機構から200億円を調達する予定です。
JDIは調達資金を、アップルの次期iPhoneに採用される新型液晶の増産や当面の運転資金に充てる予定です。
一方、JDIは有機EL開発のJOLEDの議決権比率を現在の15%から51%に引き上げる計画を撤回し、子会社化を取りやめることになりました。JDIがJOLEDの中型の有機ELパネル量産に向けた資金を捻出する予定でした。しかし、JDIの2018年3月期の最終損益は、スマホ向けパネルで液晶から次世代の有機ELへの転換が進み主力の液晶受注が大幅減が響き、4期連続の赤字に陥る見通しのため、経営再建を優先することとなりました。
株価に影響を与える第三者割当増資ですが、今回のJDIの例では、どのような影響があったのでしょうか。
以下、JDIの直近の日足チャートです。

※参照:マネックス証券アプリ「MONEX Trader」
発表された3/20から本日に至るまで約20%近く大きく値下がりしました。
市場からの評価は思わしくないものだったようです。
4.まとめ
第三者割当増資は、会社の資金調達方法の一つであり、株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えておこなう増資。会社の株主資本を充実させ、財務内容を健全化させる。
⇒既存の株主にとってはマイナスな要素となり、株価が下がりやすい。
JDIにおいて、第三者割当増資などにより調達された550億円もの資金は、アップルからの受注をこなすための部材調達などの運転資金に充てる予定です。
とはいえ、仮に一時的に業績が改善したとしても、アップル依存により業績が激しく上下するJDIの体質は変わりません。
ここで計上される利益を、次の柱として掲げる車載事業の成長にどこまで活用することができるのか? 崖っぷちのJDIにとって、2018年は勝負の年になりそうです。