今回は、四季報2018秋号厳選銘柄として紹介した銘柄の一つ、業績絶好調の[3550]スタジオアタオの個別銘柄研究です。
1. 3言で解説 スタジオアタオってどんな会社??
- 店舗(神戸、東京、横浜等などに11 店舗)・ネットで自社ブランドの婦人用バッグ・財布を企画・販売。
- バッグや財布は神戸の職人の手仕事によるもので、品質に定評がありリピーター率が高い。
- 7期連続過去最高益。4期連続増収増益。19年2月期1Q経常利益進捗57.8%。
2.[3550]スタジオアタオ 2018年4集秋号
店舗純増ゼロ(前期2)。柱の『アタオ』が新商品投入効き店舗・ネットとも拡大。前期開業の新店も上乗せ。若年層向け『イルメール』伸長。人件費増や下期の販促費増吸収し営業増益。会社計画は保守的。
アタオはスマホ収納用ミニバッグなど新商品でリピーター需要深耕。高価格帯『ロベルタ』は20~40代ターゲットにオリジナル商品拡充、有楽町店も9月改装。
16年11月の上場から上方/下方修正を一度も出したことがなく、四季報コメントの通り、非常に保守的な計画を出す会社です。
1Qの好調ぶりから、今期は大きく上振れ期待が持てます。ついに上方修正が出るかも…!?
3.スタジオアタオのココが凄い!
(1)コンセプトが明確
スタジオアタオの製品は、ブランド力を高める目的から、値下げを一切行わずに販売しています。
⇒高利益率の維持が可能に!
スタジオアタオのコンセプト
「ブランドを大切にし、値引きはしないポリシー」
出典:株式会社スタジオアタオ 2018年2月期 決算説明会
在庫処分セールで値下げし過ぎたため減益、なんて発表をしていたアダ○トリアとは違いますね。
SIX PADや吉田カバンもこのビジネスモデルですが、改めてブランド形成の大切さを感じさせられます。
(2)戦略が明解かつ的確かつ効率的
戦略① 「O2O」の活用
スタジオアタオは、「O2O(Online to Offline)」 の活用によるブランド戦略(回遊型売上拡大モデル)を推進し、具体的には、オフライン(店舗販売)とオンライン(インターネット販売)を連動させ、顧客を双方向へ回遊させることを目指しています。
ネット販売比率は50%を超えており、店舗からネットへ、逆にネットから店舗へユーザーが回遊させることを見事に実現させています。
また、同社は直営店舗による運営を行っており、販売スタッフは全て社内研修を受けた正社員です。
⇒ブランド・商品をよく理解したスタッフが質の高いサービスを提供することでリピート率上昇を図る!
バイトじゃないんだ!
商品だけじゃなく、説明スタッフにもこだわっているのね。
さらに、その販売スタッフ自らInstagram、ブログなどSNSを活用し、商品の宣伝を行っています。
⇒販管費を抑え、若者の認知度向上!
戦略② 売れっ子商品になるまで量産化しない
在庫を抱え過ぎないようにするため、まずは少量生産し、「これは定番になる」と確信してから量産する方式を取っています。
⇒小売業でありながら、在庫リスクを徹底管理!
創業社長の瀬尾訓弘氏は、婦人アパレルのデザインを手掛けた経験がある方です。
しかし、アパレルよりトレンド変化が緩やかで、季節にも左右されにくいバッグの製造・販売に興味を持ち、スタジオアタオ創業に至ったそうです。
こうした話からも、社長の敏腕っぷりが垣間見えますね!
(3)幅広い層にウケるブランド展開
スタジオアタオには、「ATAO」「IANNE」「ROBERTA」「ILEMER」の4ブランドがあります。
スタジオアタオが展開するブランド
出典:株式会社スタジオアタオ 2018年2月期 決算説明会
図の通り、10代からご年配の層まで、幅広い層に支持を集められるブランド展開をしています。
⇒親子で、または親子三世代でユーザーに!
~Twitterの声~
お母さんとお姉ちゃんとataoの財布頼んだ〜〜💓なおはピンク💓でも、ミュウミュウの財布思い出す…😂届くの楽しみ💓 pic.twitter.com/mIRsVyzz1k
— やまちゃん (@yamachan0927) 2016年5月30日
お母さんヘビ革嫌いやったのに、うちが仕入れたアタオの財布に一目惚れしたらしく嫁入りした。
模様がなくて大好きな黄色だからいけたらしい pic.twitter.com/jEekj8cvJq— 椥辻 (@keihaku_) 2017年2月17日
4.サマンサタバサJPとバランスシートを比較
こちらは、スタジオアタオのバランスシート(BS)です。
株主資本が厚く、自己資本比率は約67%と、財務健全性が高いです。
利益剰余金も積み上がっており、非常に安定して成長しています。
5.まとめ
スタジオアタオは、自社ブランドのバッグ・財布の企画・販売を展開し、在庫を抱えない工夫を行いながらEC売上を伸ばし、非常に効率的な経営を実現しています。
神戸の職人が手仕事でこだわりながら作っていること、ブランドをよく理解した質の高いスタッフだけが販売員をしていることから、リピート率が高いというのも頷けます。
ネット販売の比率が半分を占めていることもあり、今後の出店ペースは年に2店舗程度とていますが、こうして販路拡大より着実にブランド力向上に注力する経営方針にも共感します。
サマンサタバサJPと比べると、在庫を抑え、販管費にお金をかけずネット販売中心、SNSと口コミで顧客を獲得するスタジオアタオのビジネスモデルの方が優位性があると言えます。
さっきYouTubeでストックボイスの動画を見たんだけど、瀬尾社長って若いわね。
調べてみたら40代だったわ。
そうなんです。創業社長であり、しかも筆頭株主です。
ところでマイさんは、次の“法則”をご存知ですか?
「テンバガー超え銘柄」の共通点
出典:日経スタイル2017年6月号
テンバガー超え銘柄の共通点…
スタジオアタオ、全部該当してるわね!!
そうなんです。成長力を勘案すれば、現在の指標でも割高ではないかもしれませんね。
成長戦略とコンセプトが明確な会社は応援したくなります。
しかも関西企業!是非株主総会に出席してみたいものです。
「ファッションにエンタテイメントを」を企業理念とし、オリジナルブランドの商品の提供を通じて「お客様に非日常のワクワク感を提供する」ことを目指しているスタジオアタオの事業展開、今後も大注目です!!
~合わせて読みたい~