半導体(セミコン)業界に身を置く管理人の業界研究シリーズ、第一弾です。(シリーズ化するかわかりませんが、好評なら更新していきます)
半導体産業は、一口では語れない程、非常に多くのプロセスが合わさって形成されています。
中でも、半導体テスト工程は、性能評価や耐久性評価を行う、いわば半導体業界の脇を固める非常に重要な存在です。
近年では、車載用半導体やメモリーが需要を牽引しています。
この業界で国内首位は、タイトルにも記載のあるアドバンテストで、世界大手は米国のTeradyne社です。
特にDRAM向けシェアについては、現在、アドバンテストが世界首位です。
今回は、半導体テスティング業界の市場動向について、アドバンテストの解説を交えながら解説します。
半導体テスティング業界 市況観測
2017年の半導体テスティングの市場規模は、約33億ドルとなった模様で、前年と比べ大幅な市場拡大を実現しました。
SoC(システム・オン・チップ)テスターが堅調を維持し、また、メモリーテスターの拡大が大きく、メモリーテスターに関しては旺盛な需要が今後も続く見通しとなっています。
市場規模は、SoCは前年比2億ドル増の26億ドル、メモリーは前年比3億ドル増の7億ドルとなっています。
SoCテスター
スマホ市場減速の影響を受けました。
しかし、車載用半導体や有機EL向けドライバーICなどが活況で、全体として前年比でプラス成長を遂げています。
市場シェア
1位 Teradyne(USA) 世界シェア5割強
2位 アドバンテスト(JPN) 世界シェア3割前後
メモリーテスター
NAND向けが好調で、さらにPCIeやUFSなどの高速インターフェイスの導入に伴って、後工程テスター成長が顕著なものとなりました。
また、有機ELパネル生産拡大で、需要が大幅に増加しているようです。
市場シェア
1位 アドバンテスト(JPN) 世界シェア5割強
2位 Teradyne(USA) 世界シェア3割前後
半導体テスティング各社の動向
[6857] アドバンテスト
1/30発表の第3四半期決算に合わせて、18年3月期通期上方修正を発表しておりましたが、先日発表された18年3月期決算ではその修正内容を凌ぐ好決算が発表されました。
1/30発表 上方修正の内容
売上高 従来計画1800億円→修正後1950億円
営業利益 従来計画180億円→修正後200億円
直近の第3四半期受注高が想定を大きく上回る568億円(前年度同期比29%増)を記録したことにより、上方修正に踏み切りました。
通期洋装の達成には第4四半期の売上高は557億円と非常に高い水準を予想しています。
「足元のテスター受注が想定を大きく上回る規模で推移しており、来期売上高についても2000億円の達成を視野に入れている」としていました。
↓
4/26発表 18年3月期決算の内容
18年3月期実績
売上高 2072億2300万円(前期比32.9%増)←1/31発表時に目標にしていた2000億円の大台突破!
営業利益 244億8700万円(前期比76.1%増)
19年3月期予想
売上高 2300億円
営業利益 345億円←17年度実績の約2.5倍
[米] Teradyne
生産体制に関して、熊本の新工場が完成し、テスター装置生産は2018年1月から開始しています。
17年通年業績
売上高 21.37億ドル(前年比22%増)
営業利益 5.64億ドル(前年比61%増)
そのうち半導体テスター部門の売上高は16.6億ドル(前年比22%増)
最後に
東京エレクトロンや日立ハイテクノロジーズをはじめとする他の半導体製造装置と同様に、テスター装置業界も過去に例を見ない好調を維持し続けることがが見込まれていますが、その陰で、部材不足という大きな課題を抱えています。
プリント基板の実装工程や精密板金を加工する協力工場の確保に関しては、テスターメーカー同士で争奪戦を行っているのが現状です。
受注高・受注残高では過去最高水準となっているにもかかわらず、これらの生産面の課題により、売上が計画を下回ることが懸念されています。
半導体テスティング工程も含め、各産業に大きな影響を与える半導体業界の動向には目が離せません。