日本取引所グループが提供する『2005年以降商号変更会社一覧』によると、2005年から2017年7月1日現在にかけて599社の上場企業が社名変更を実施しているとのことでした。
会社名のことを商号と言います。
商号変更の登記手続を行うことで、企業の社名変更が完了します。
商号変更の目的には様々ありますが、代表的な目的としては「会社の認知度とイメージの向上」です。
以下は、今年12/3(月)のニュースです。
社名もダイナブックに。東芝PC、シャープ傘下で再出発
シャープのパソコン子会社、東芝クライアントソリューション(TCS)は3日、東京都内で中期経営計画を発表し、来年1月1日に社名を「Dynabook(ダイナブック)」に変更すると発表した。
国内で知名度の高いノートパソコン「ダイナブック」ブランドを海外でも展開し事業を拡大。3年後をめどにIPO(新規株式公開)を目指す。(中略)
TCSの石田佳久会長は、同日の会見で「国内と比べ海外はダイナブックの知名度は低いが、ひとつのブランド名で攻めていくことでブランド価値を高めたい。
出典:Sankeibiz(2018.12.3)
普段使っている製品の名前は知っていても、「提供している企業名には馴染みがない」ということもあるかと思います。
提供するサービスが会社名に先行して圧倒的な認知や支持を誇る場合、その会社はその認知度を活用することができます。
また、複数の事業を展開している場合、社名を知名度の高い自社ブランドに統一することで、その他の事業領域の提供サービスに関しても、世間に同じブランドイメージを持たせることが可能となります。
⇒代表的な製品・サービスが持つ安全性、質、価格などの強みを、その会社が提供する全てのサービスに対するイメージとして持たせることが可能に!
今回の記事では、Dynabookのように社名を提供している製品(サービス)名に変更した企業をご紹介します。
社名を製品・サービス名に変更した企業 3社
1.富士重工業株式会社→株式会社SUBARU
同社は、自動車ブランドとして有名なSUBARUを持つ自動車メーカーです。
2017年4月1日をもって、「富士重工業株式会社」から「株式会社SUBARU」に社名変更しました。
同社は世界的に有名な自動車ブランドSUBARUだけでなく、航空宇宙事業や農業機器にも力を入れています。
社名を認知度の高い「SUBARU」としての企業のイメージを統一することは、今後グローバルに他の事業を展開していく上で有利になると判断したのと考えられます。
2.健康コーポレーション株式会社→RIZAPグループ株式会社
同社は、パーソナルトレーニングジムやゴルフレッスンの「RIZAP」や美容・健康通販を展開しています。
純粋持株会社制に移行すると同時に、2016年7月1日をもって「健康コーポレーション株式会社」から「RIZAPグループ株式会社」に変更しました。
子会社RIZAP株式会社が運営するパーソナルトレーニングジム「RIZAP」の絶大な認知度を受け、RIZAPブランドによる多角的なサービス展開を目指し社名変更しました。
3.イーファクター株式会社→株式会社メタップス
同社は、アプリ収益化支援のマーケティング事業やネット決済代行事業を展開しています。
データ分析と決済サービスを運営する同社は2011年12月、「イーファクター株式会社」から「株式会社メタップス」に社名変更しました。
「metaps」は元々、2011年にシンガポールで開始したアプリ収益化プラットフォームサービスの名前で、現在の中心事業となっています。
メタップスの例は、上場前の社名変更でしたので、きっと知らない方も多かったのでは!?
まとめ
旧名では刺さらなかった社名も、変更することで従来のイメージを刷新し、新規顧客の獲得や新規市場開拓に貢献することもあるようです。
このように、社名の変更は新規ターゲットへの訴求など、マーケティング戦略の一部を担うと言えます。
しかし、社名変更には金銭的なコストがかかることも念頭に置いておく必要があります。
column 社名変更に伴う金銭的なコストとは(Panasonicの例)
2008年、松下電器産業からパナソニックへの社名変更におよそ300億円の費用がかかったと言う例が有名です。
社名の変更により、全国の従業員の名刺の刷り直しや、看板など広告の変更を実施する必要があり、非常に巨額のコストがかかります。
パナソニックのケースでは全国のグループ会社従業員6~8万人近くの名刺変更に加え、本社、生産拠点、事業所の他、全国5,600店舗のスーパープロショップや18,000店舗もの地域販売店全体の広告の取り替えのため、約200億円の費用がかかったとされています。
社名変更の目的や、社名の由来を調べると会社の方針や創業者の想いを感じ取ることができます。
チェックすると面白いと思いますよ♪
社名の由来についてはこちらの記事でもご紹介しています↓
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