アメリカは、リーマンショック後の景気回復の策として、伝統的手法・金利政策から非伝統的手法・量的緩和政策を進めてきました。
その結果、ダウは2018年に入り、一時26,000台に到達し、米国経済は徐々に息を吹き返しています。
今回は、アメリカの景気回復を裏付ける指標について、その推移と内容について紹介していきます。
米ISM景気指数は景気に敏感な指標
米ISM景気指数とは、製造業の購買担当者から毎月、景況について情報を集めたものを指数化したものです。
なぜ製造業の購買担当者から情報収集するのかというと、最も景気に敏感であると言われているからです。
以下、直近の3年間の米ISM景気指数です。
米ISM景気指数 | |
2014年 | 55.6 |
2015年 | 51.4 |
2016年 | 51.5 |
2017年1月 | 56.0 |
2月 | 57.7 |
3月 | 57.2 |
4月 | 54.8 |
5月 | 54.9 |
6月 | 57.8 |
7月 | 56.3 |
8月 | 58.8 |
9月 | 60.8 |
10月 | 58.7 |
※出典:米国・ISM
この指数は一般的に、“50を超えていれば景気がいい”ことを表すとしていますが、直近の3年間は50超えを維持していますので、アメリカ経済は好景気と考えられます。
米国の貯蓄率ダウンは好景気の証!?
以下は、米国の貯蓄率です。
貯蓄率 | |
2014年 | 5.7% |
2015年 | 6.1% |
2016年 | 4.9% |
2017年1月 | 3.7% |
2月 | 4.1% |
3月 | 3.9% |
4月 | 3.7% |
5月 | 3.8% |
6月 | 3.6% |
7月 | 3.4% |
8月 | 3.4% |
9月 | 3.0% |
10月 | 3.2% |
※出典:米国・商務省
2014年は5.7%、2015年は6.1%、2016年は4.9%でしたが、直近は3%台に下がっています。
これは、貯蓄率が下がるほど、お金を使っているということを示しており、それだけ景気がいいことを表しています。
ちなみに、リーマンショック前はこの数値はマイナスでした。
リーマンショックが起こり、不安が高まると貯蓄率は上昇しましたが、現在は逆に、安心感が出てきたため下がっているのです。
米国は消費が美徳の国ですので、貯蓄せずに消費するマインドが徐々に広がっていることがわかります。
<コラム> 日本の貯蓄率はゼロに近い
以下は、内角府「家計貯蓄率」の数値です。
2013年度…-1.1%
2014年度… 0.2%
2015年度… 0.7%
※この数値は、可処分所得から消費支出を引いた残りの割合を表します。
日本の金融資産は約1800兆円ありその半分の900兆円以上が預貯金、にもかかわらず貯蓄率が0%に近いのはどういうことでしょうか?
給与が上がらず社会保険料などが上がる中、子育て世代を中心に貯蓄が伸び悩み、高齢者世代では年金だけでは暮らせない世帯が貯を取り崩しています。
これらの理由から、貯蓄率は0%前後となっているのです。
バブル期は、貯蓄率は10%を超えていましたが、その後日本はGDP成長が停滞し、可処分所得が減少し、貯蓄率は0%に近づいてきています。
したがって、日本の景気は米国と同様に貯蓄率での景気観測は難しいと言えます。